* リーマン×女子高生 ―初めては全てあなた― *




肩を引き寄せ、キスをする。
触れた瞬間、手の中の細い肩がびくりと震えた。その大きすぎる反応に、男は思わず唇を離す。

「……まさか、お前」
「い、言わないで!」

そう叫ぶと、ぱっとファイは顔を背ける。その両頬はこの部屋に入った時以上に真っ赤に染まっていた。それを認め、男は確信する。
まさかとは思っていたのだ。自分達が世間で言う、所謂『お付き合い』の関係になってからもう随分と経つ。その間も、演技とは思えない程に初々しい反応を度々見せていたファイに、男も薄々感づいていたのだけれど。
まさか、本当に。

「お前はじ、」
「わーあーもー言わないでって言ったぁー!!」

ばかばか黒たんのばかー!と、半泣き状態でファイは遮る。
そしてそのまま男に背を向けてしまった。

「……」

男はその背を見、そこで初めて戸惑った。
この部屋に来た時に高ぶっていた感情が、スッと冷めてしまったかのようだ。本当に自分がこの少女を抱いてしまっても良いのかと、途端に冷静になった頭で考える。
まさか自分にこんな一面があったとは―――と男は驚いたのだけれど。ここまで来てもう後戻りなど出来ない事は分かってはいるのだ。それは相手も承知の上だろう。しかし。

「く、黒たんの言うとおり、オレ、は…初めて、だけどー……」

と、ぐるぐる思考を巡らしている男の前で、相変わらず背を向けたままファイはゆっくりと言葉を紡ぐ。
少しだけ振り返り、男を見上げながら顔中を林檎のように赤くして言った。

「だから……、優しくしてね…?」

そんなファイを見て、全くこちらの事情などお構いなしだなと、先程の感情が再び体中を巡り始めたのを感じながら、男はファイを思い切りかき抱いた。


* * *


くちゅくちゅと濡れた音が響く。
初めて他人の粘膜を受け入れたファイの口内は、それにどう答えてよいのか分からないという様に男には思えた。
いや、口内だけじゃない。ファイの身体が、全身が緊張のためか強張っている。男の腕に抱かれた状態のまま、微動だにしないファイに男は内心苦笑した。

「…っ、ん、」

するとファイが、片手で男の胸を押してきた。
弱弱しいそれに何かと思い、一旦唇を離す。ぷは、とまるで水の中から上がってきたかのような声を上げ、ファイは、

―――い、息…くるしぃ」

と、言った。
余りにもお約束な反応をされ、男は一瞬言葉に詰まってしまった。そして次に、そんなファイに苦笑すると、優しく頭を撫でながら言う。

「こういう時はな、鼻でするんだ」
「…え?」

男の言葉をファイが飲み込むのと同時に、男は頭を下へずらす。頤から綺麗に弧を描いている首を通り過ぎ、その白く輝く一本のラインへ唇を寄せ、

「っ、ひゃ!」

いきなり己の鎖骨へと触れたそれに、ファイは驚いてびくりと身を震わした。
ちゅっちゅ、と軽くではあるが何度も触れられ、その度にきゅっと肩をすぼめる。その動作が堪らなく可愛い。

「んっ、はぁ…は、」

だんだんと息の上がっていくファイを認め、男は撫でていた手を解き、同じく下へと移動させる。

「え…?―――あ、や、やだ待って!」

そして男の行動を理解した途端、ファイはそこで初めて抵抗した。身じろぐように体を捻り、男から自分を隠そうとする。
しかしそんな事をしても、既に下着しか身に纏っていないのだから意味が無いのだが。

「ま、待って待ってやだやだやっぱりやだ!」
「んだよどうした」
「だ、だって…」

と言い、それっきり黙ってしまったファイを男は見つめる。
ここまで来て今更拒否も何も無いだろうに、一体どうしたというのか。

―――

ふと、思い当たる事があった。いや、きっとそれだろう。それ以外に考えられない。
そう確信し、男はバカ、と小さく呟くと、

「今更何も思わねぇって。だからこっち向け」
「う、うそ!絶対笑うモン!」
「んな事しねーよ」
「うそだぁ」
「しねーって」
―――ホ、ント?」
「ああ」
「……」

うろうろと瞳をさ迷わせていたが、とうとう観念したらしくファイはゆっくりとこちらへ向き直す。
しかし相変わらずその両腕は胸元を隠したままだ。

「手、どけろよ」
「ぅ、うん…」

そう言うが、一向に動こうとしない。
男はそんなファイの手を包みゆるゆると撫でた。快楽を与える類のものではなく、幼子をあやすかのようなその動作に、頑なに強張っていた腕から徐々に力が抜けていく。
そして頃合を見計らい、男は腕を静かに外した。もう片方の手を後方へ回し、留め金を手探りで見つけ、それも外す。
ぷつ、と小さな音がした。

「ぁ…」

下着を外され、男の手によって露わにされた自分の胸元に、ファイは顔を赤らめる。
そこに現れたのは、勿論2つの小さな乳房だった。男の手が2回り以上余ってしまう程に小さいそれは、白い肌の上で微かに震えている。

――――アッ!」

顔を背け、きゅ、と目を閉じていたファイは、次にきた衝撃に思わず甲高い声を上げていた。遅れて、男の唇で胸の先を舐められたのだと気付く。
男はファイのそんな声に満足気な顔をし、もう一つの小さな膨らみを手で包んだ。少しずつ、余り力を入れないようにして揉むと、頭の上ではあ、とファイが息を漏らすのが分かる。
余り豊かではないだろうなと、普段から衣服越しに見ていて想像はしていた。男自身、どちらかと言えば大きい方が好みではあるが、この少女にはむしろこれくらいの方が似合っていると思ってしまう。
全く、まいってるのはどちらの方か。疑いようもない、自分はこの年下にかなりのめり込んでいる。

「んっ、…ふ、ぁ、あ」

舌先に力を込め、胸の突起を押しつぶす。ぐ、ぐ、と凹ませ、その周りに円を描くと、びくん、とファイの身体が跳ねた。
そして、その間ももう片方の蕾を弄るのも忘れない。親指と人差し指で挟み、引っ張り挙げ押しつぶす。指先でこりこりと擦ると、徐々に硬く立ち上がるのが分かった。

「は、ァ…あ―――ん」

初めは衝撃に耐えるかのようだったファイの声にも、徐々に甘い響きが混ざり合う。
それを認め、男は片方の手を更に下へと伸ばした。

―――――っ!」

そして、その布越しに指を這わせると、びくりと先程とは比べ物にならないくらいに大きくファイは反応した。
これから先に行われる行為をリアルに想像してしまったのだろう、途端、男の手から逃れるかのように体をずらす。

「逃げるなよ」
「やっ、」

男はファイの肩を押さえ、ぐ、と引き寄せた。
上半身だけを中途半端に起こされ、己の下半身がすぐ視界に入ってくる。

「ぁ、ああ…」

閉じようとする足を掻き分け侵入してきた男の指が、今、ファイの体の中で一番熱を持っている場所を撫で上げる。
ゆっくり動かされる度に、じんわりと奥から何かが這い上がってくるのを感じた。

「はあ、はあ―――アッ」

そして、男の手がついに下着にかかる。
既に力の入らなくなっているファイは、抵抗する間もなく簡単にそれを脱がされた。

「…すげぇな」

思わず男は声を上げる。
さんざん愛撫を施したお陰か、ファイのそこはしとどに濡れていて、布との間に、つ、と一本の液が伝った。濡れる、という事がよく分かっていないファイはその感覚に眉を顰める。
そして男は指を挿入する。花弁を押し開く、それだけでもひくりと身体を震わせたファイは、しかし自分の体内に入ってきた指にそれ以上に反応した。

「あっ…!」

自分ですら触った事のない場所に男が触れている。その事実を思うだけで、体温がどんどんと上昇した。
熱くて熱くて。思わず伸ばした手は、男のそれに簡単に捕らえられシーツへと降ろされた。そして、指を絡められ縫いつけられる。

―――ぅ、は…ァ、」
「…キツイな」

ファイの体内は初めての異物に戸惑っているようだ。ぎゅうぎゅうと、まるで絞め殺さんばかりに締め付けてくる。
たった指一本でこれだとこの後はどうなるのだろう、なんて男は思った。それを想像し、一気に血が駆け登る。
知らずゴクリと喉が鳴り、それでも男は努めて冷静を装った。

「…動かすぞ」
「え?あっ、ぁ、ああ…!」

入れた後しばらくそのままだったので油断していたのだろう、男の急激な動きにファイのその目が開かれる。初めて与えられる感覚にその白く細い背をしならせ、まるで猫のようだなと男は思った。
第二間接まで入れたそれを中で思い切り曲げる。凹凸のある上の壁を引っ掻くと、ファイが一つ鳴いた。それが面白くて、もっとその声を聞きたいと男は動きを激しくする。

「はっ、ぁ…んっ―――ぅあ黒た…!」
「どうした?」

最中に初めて名前(正確には渾名だが)を呼ばれ、男はファイを覗き込む。
固く閉じられていた瞼が薄く開けられ、たっぷりと水を含んだ綺麗な蒼が覗いた。そこからころり、と一つ涙が零れる。
はあ、と肩で息をしながらファイはその蒼を男へと向け、

「や、…黒たん、おっき、ぃ―――
「大きいって…まだ一本だぞ」
「……うそだぁー」
「お前な…。ホラ、もうちょっと頑張れ」
「ぅ〜…」

いくら睨まれても、そんな濡れた瞳では何の効果もない。
可愛い、と素直に思ってしまった男は、その衝動のままファイへ口付ける。熱さのためかそれとも興奮か、おそらくは両方だろう、いつも以上に赤く色づくそこへ触れ、そして舌も絡め取ってやった。
初めてだと言ったファイの言葉に嘘はなく、逐一初々しい反応を返してくるファイに対して愛しさは募るばかりだ。男は笑う。
だって、おかしいではないか。『1回3万で』と初めに声をかけたのはファイの方からなのに、その当人が、セックスもましてやキスまでもが初めてだなんて、誰が想像しただろう。

「ん…ふぅ、あ…」
「…ちゃんと息、してるか?」
「ぅ、んー…鼻で、でしょ?」

ちゃんとやれてるよ、エライ?とでもいうようにファイが見つめてくる。その口元に笑みを浮かべて。
それを認めた瞬間、男の中で何かが切れた音がした。

「っ、や、ぁあーーー!!」

指を付け根まで入れ、激しく掻き回す。途端、絶命するのではないかと思うような嬌声が部屋中に響いた。
その端正な眉を苦しげに歪め、金の睫毛がなびく瞼をきつく閉じる。ぎゅぅ、と何かに耐えるかのように、ファイはシーツを掴む手を握り直した。

「力抜けって」
「ァっ、…わ、かんな―――

全身の筋肉を強ばらせ、はっはっ、と荒く、しかし規則正しく息を吐くファイの頭を男は撫でた。
そして、綺麗に弧を描いている額へとキスを落とす。ちゅ、と名残惜しそうに小さな音を立てて離れ、ファイはその軌跡を目で追った。

「くろりん…?」
「息を吐け。ゆっくりな」

そう言われ、ファイは素直に従った。
少し空気を取り込み、そして吐き出す。なるべく細くゆっくりと、長く続くように。
その間も、男はファイの頭を撫でていた。ふわふわとした金の感触を一房一房確かめるかのような動作に、とろりとファイの瞳が溶かされていく。
そして男は、ファイの身体から徐々に力が抜けていくのを感じると、ぐるりとその指を回した。

「ぁ、きゃ―――――――…ァあっ、」

と、急に動かした指がある一点に当たり、ファイの声が一層高くなる。
そこには今までとは違い、確かに甘さを含んでいた。良い所に当たったのだろう、その証拠にじわりと更に液が溢れる。
それを男は手の平で感じ、口端を意地悪く上げた。今確かに感じたものの正体が分からないのだろう、目をぱちくりさせているファイは、そんな男に気付く余裕も無い。
男は再びそこへ指を移動させる。ぐりぐりと多少緩慢な動作で撫でると、その度にファイの身体は面白いように跳ねた。初めて与えられる大量の快楽に、誰に教えられたわけでもないのに、いやいやと顔を振りやり過ごす。

「あっ、んぅーっは、はぁ…ぁあっ、―――ぃや、やっ、だ…ダメ…ッ」
「そろそろイくか?」
「え、い、いく…て、あっ!や、…なんか、も…!」


おかしくなる―――


シーツを掴んでいた手で顔を覆い、ファイはか細くそう呟いた。
それに男は舌打ちする。

「隠すな」
「ぁ、ぁ、いやっ…」
「隠すなっつってんだろ」

空いている手で蒼を隠している腕を外す。
すると、過ぎる快楽に戸惑い、しかしそれでも情欲に揺れる瞳と目が合った。ころりころりと、そこからいくつもの涙が零れ落ち、それは頬を伝ってファイの金糸へ吸い込まれていく。

「く、黒た…オレ、」
「ああ…ここにいるから」
「ぅん、いて……離さないで」

ファイは男へと縋り付く。
男の力強い腕が自分の背に回されるのを感じながら、少々汗ばむ男の肌と自分の肌が一ミリの距離もなく触れ合っている、その事実に今更ながら胸が震えた。
男はさらに指を激しく動かす。どこかに行ってしまいそうだった。知らない世界はすぐそこまで迫って来ていて。

―――ァッ、ああっ、んぁ…ぁ、ふぅ、んん――――――――っっ!!」

そして次の瞬間頭の中が真っ白に染まるのを感じ、ファイは男の肌に爪を立てた。
















***

すいませんとてつもなく長いので(A5で9P分あります)ここで切ります…心が折れました……。
続きは同人誌で!(ぇ